腸は免疫力の70%以上を担っています。
この腸内環境を整えることは、健康・美容に効果があることが明らかになり、
その研究が進められています。
あなたは腸内環境を整えるのもといえば、
乳酸菌入り商品を思い浮かべるのではないでしょうか?
実は、乳酸菌以外にも腸の健康を保つためには、大きな効果が発揮されるものがあるんです。
その重要で必要不可欠な栄養素こそ、【食物繊維・オリゴ糖】なんです。
今回は【食物繊維・オリゴ糖】の効果と、多く含まれている食物などをご紹介していきます。
項目は以下の通りです。
01.食物繊維・オリゴ糖は【プレバイオティクス】
02.食物繊維・オリゴ糖が腸に与える影響
03.腸内環境だけではない!食物繊維・オリゴ糖の効果
04.食物繊維・オリゴ糖が多く含まれる食物
05.食物繊維・オリゴ糖を効率よく摂取し、健康な体を手に入れよう
01.食物繊維・オリゴ糖は【プレバイオティクス】
近年、健康づくりにおける腸内環境の重要性に注目が集まるにつれ、【プロバイオティクス】や【プレバイオティクス】という用語が、一般にもよく知られるようになってきました。
あなたも【プロバイオテクス】という言葉は聞いたことがあるかもしれません。
プロバイオティクスは、【腸内環境を良くすることによって私たちの健康に役立つ微生物】を摂取することで腸を健康に保つことを言い、生きた乳酸菌などがこれにあたり、微生物を意味しています。
対して、あまり聞き馴染みが無い【プレバイオティクス】とは、英国の微生物学者Gibsonによって1995年に提唱された用語で、
・消化管上部で分解・吸収されない。
・大腸に共生する有益な細菌の栄養源となり、それらの増殖を促進する。
・大腸の腸内フローラを健康的なバランスに改善し維持する。
・人の健康の増進維持に役立つ。
以上の条件を満たす食品成分を指します。
現在までには、
・オリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖など
・食物繊維の一部(ポリデキストロース、イヌリンなど
が、プレバイオティクスとしての要件を満たす食品成分として認められています。
プレバイオティクスを摂取することにより、乳酸菌・ビフィズス菌増殖促進作用、整腸作用、ミネラル吸収促進作用、
炎症性腸疾患への予防・改善作用などの人の健康に有益な効果が報告されているんです。
また、プレバイオティクスに要求される条件とは、
・ヒトの消化管上部で加水分解、吸収されないもの。
・大腸に共生する一種、または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌など)のえさとなり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化するもの。
・大腸の腸内細菌フローラを、健康的な構成に改変でき、宿主の健康に有益な効果を誘導する。
以上になります。
このように、プロバイオテクスとプレバイオテクスは、同じように腸内環境に作用し、ヒトの健康に重要性があるとして、研究が進められています。
さらに、プロバイオテクスとプレバイオテクスを組み合わせた、【シンバイオティクス(synbiotics)】という言葉があります。
これは、腸内フローラのバランスを整える微生物であるプロバイオティクスと、腸内の有用な菌の餌となるプレバイオティクスを同時に摂取することで、より効果的に腸内環境を改善し、健康増進に役立つと考えられつけられているんです。
この【シンバイオティクス】は、医療の現場でも、感染防御や炎症抑制などに応用されています。
02.食物繊維・オリゴ糖が腸に与える影響
では【食物繊維・オリゴ糖】は、腸にどのように働くのでしょうか?
まず、食物繊維からご紹介していきます。
<食物繊維>は従来私たち人の体にとって、役に立たないものと考えられていましたが、
近年、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素につぐ、【第六の栄養素】として注目されています。
また2003年、世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)による
【食事、栄養と生活習慣病の予防(Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases) 】では、
肥満、2型糖尿病、心臓病のリスクを下げる効果があり、私たちの体にとって重要な栄養素であると報告されています。
食物繊維には様々な種類がありますが、性質からみて、
・水に溶ける水溶性食物繊維
・水に溶けない不溶性食物繊維
大きくこの2種類にわけることができ、それぞれが私たちの身体に及ぼす生理作用に特徴があります。
<水溶性食物繊維>は、水を含んでゲル状に溶け、腸管内で栄養素の吸収を穏やかにするのが特徴です。
水溶性食物繊維は不溶性食物繊維に比べて、腸内細菌のエサとなり、発酵を受けやすく腸内に良い効果を発揮します。
また、<不溶性食物繊維>は、水に溶けずに大腸まで到達し、腸内に蓄積され便のかさを増やし、腸内に発生した腐敗物質・有害物質の排出を促す作用があります。
次に、オリゴ糖のご紹介をしていきます。
オリゴ糖は難消化性の糖類です。
つまり、人の消化酵素によって分解されずに、大腸まで届くことで<ビフィズス菌・乳酸菌のエサ>になります。
合わせて、悪玉菌のエサにはなりにくいのが特徴です。
毎日オリゴ糖を摂取すれば、腸内細菌のうちで通常10〜20%を占めるビフィズス菌の割合を、さらに増やすことが可能になるんです。
腸内のビフィズス菌が増えることで、悪玉菌の働きを抑制し、人体最大の免疫器官である腸管を刺激することで、免疫力を高め、感染防御・発ガン抑制・アレルギー症状の改善(花粉症など)のような、様々な効果を発揮します。
また、このような効果を発揮する<オリゴ糖>を含む商品は【おなか調子を整える】という保健機能から、
特定保健食品のお墨付きを受けているものもたくさんあり、昔からその有用性が認められているんです。
オリゴ糖は野菜や果物、牛乳などにも含まれていますが、その量はわずかなので、確実な効果が期待できるほどの量ではありません。
そのため、サプリメントなどの健康食品から摂取するのがもっとも合理的です。
この食物繊維とオリゴ糖が腸へもたらす、大きな効果としては、腸の善玉菌のえさとなり、善玉菌の働きを活性化させること。
活性化した善玉菌は、その数を増やすと同時に、酢酸や乳酸などの有機酸を生成し、腸内pHを低下させることで、腸内を酸性に近づけます。
ビフィズス菌など乳酸菌の繁殖により、腸内容物のpHを酸性に傾くことで、身や、にとって有害な物質であるアンモニア、インドール、フェノールなどを産生する有害菌(悪玉菌)の繁殖を抑制することができるんです。
この働きにより、カルシウム、鉄、ある種のビタミンなどの栄養素の吸収を促し、
また、生成された有機酸は大腸各部を刺激し、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、便通を促すことへ繋がるんです。
そればかりでなく、ビタミンB群の産生や、免疫活性の増強にもかかわり、病原菌の感染に抵抗したりと。
腸内の環境を、宿主である私たちの身体に有効な方へ改善します。
実は、このような腸内善玉菌の働きが<老化予防、長寿>につながると考えられているんです。
03.腸内環境だけじゃない!食物繊維・オリゴ糖の効果

食物繊維・オリゴ糖は腸内環境を整え、免疫力を向上することに効果を発揮する以外にも、私たちの体に多くの効果を発揮します。
食物繊維の中でも、水溶性食物繊維の1つである【難消化デキストリン】の効果をご紹介します。
・食後血糖値上昇抑制作用
体内で粘度の高い溶液をつくり、胃から小腸への食物の移行を緩やかにすることで、
小腸からの急激な消化吸収を抑え、グルコースの吸収を緩慢にして血糖値の上昇を抑える効果があります。
・脂質異常症予防
脂肪の吸収を遅延し、食後の中性脂肪の上昇を抑制します。
・コレステロール上昇抑制
食物コレステロールの吸収抑制、コレステロールの異化・代謝・排泄の促進、胆汁酸の回腸からの再吸収阻害による代謝・排泄の促進などが報告されています。
・便秘予防
腸の蠕動運動の活発化により、便通を改善します。
また、体内でゲル状の物質に変化するため、便を柔らかくしてくれます。
・肥満予防
胃で膨潤することで食塊を大きくし、粘性を上げ、胃内の滞留時間を延ばし満腹感を与えることで、多食を抑え、肥満予防に効果を発揮します。
また、摂取することによりメタボリックシンドロームの元凶とも呼ばれる内臓脂肪も減少するんです。
・糖尿病予防
血糖値の急激な上昇を抑えることで、インスリン分泌の量やインスリンの効き具合の低下を抑え、インスリンの作用不足による糖尿病を防ぐことができます。
・脂質代謝を調節して動脈硬化の予防
コレステロールの吸収抑制の働きから、血管の内側にコレステロールなどが付着して血管が狭く硬くなり、血液の流れが悪くなった状態を防ぎます。
その結果、動脈硬化の予防につながります。
・大腸癌の予防
便通をよくすることで、腸を綺麗にし、腸の腐敗産物から発生する、有害物質を抑えることで、大腸ガンや様々な病気の予防に効果を発揮します。
次にご紹介するのは、オリゴ糖。
オリゴ糖の中でも、【ガラクトオリゴ糖】は、牛乳などの乳製品や母乳にも含まれており、私たちに馴染みのある栄養素で、タンパク質の消化吸収を促進する働きがあるので、赤ちゃんの成長を手伝っています。
このガラクトオリゴ糖は、ヒトの消化管で分解されずに大腸まで到達するため、糖分であるにも関わらず、身体そのもののエネルギーになりにくく、腸内細菌のエサとして効果的な糖になります。
そのため、最近話題の身体の老化へ繋がる、<糖化>への心配がないんです。
ガラクトオリゴ糖の効果は以下の通りです。
・便性の改善効果
腸の蠕動運動の活発化により、便通を改善します。
・虫歯予防効果
虫歯の原因菌であるミュータンス菌の生育に利用されないため、虫歯になりにくい糖質です。
また、脂肪の代謝効果も高いのでダイエットとしても注目されています。
このように、食物繊維である難消化デキストリンやオリゴ糖のひとつであるガラクトオリゴ糖には、腸内環境正常化の他にも、私たちの身体に非常に有益な効果が確認されているんです。
04.食物繊維・オリゴ糖が多く含まれる食物
ここで、、私たちの身体に有益な<食物繊維・オリゴ糖>が、多く含まれている食べ物をご紹介します。
毎日の食事にプラスすることで、あなたの腸内環境を良い方向に改善してくれます。
【食物繊維を多く含む食品】
野菜・・・ごぼう、大根、オクラ、ニンジン、さつまいも、菜の花、春菊
穀類・・・大麦、オートミール、ライ麦パン
豆類・・・納豆、大豆、いんげん豆
【オリゴ糖を多く含む食品】
玉ねぎ、サトウキビ、キャベツ、ゴボウ、アスパラガス、ジャガイモ、ニンニク、
トウモロコシ、大豆
普段の食生活で意識的に取り入れるようにしましょう。
しかし!!
水溶性食物繊維は、加熱調理などで食材から失われることがあったり、オリゴ糖も食物に含まれる含有量はそう多くはないんです。
さらに、食物繊維・オリゴ糖は、1日摂取しただけでは効果が発揮されません。
摂取して効果を得るためには、毎日継続的に摂取することが重要です。
効果を検証した研究の多くで、効果を得るためには1週間や、長いと2週間程度の期間にわたっての摂取が必要であることが分かっています。
毎日確実に摂取するためにも、サプリメントなどで効率よく摂る方法をおすすめします。
05.食物繊維・オリゴ糖を効率よく摂取し、健康な体を手に入れよう

いかがでしたでしょうか?
腸活の観点から、乳酸菌などの腸内善玉菌の働きが注目されている今、長期的に腸内環境をよくするためにも、乳酸菌と合わせて食物繊維・オリゴ糖を効率よく摂取することが、私たちの健康にもっとも有効なんです。
免疫力を向上し、健康を守るためにも、毎日のプレバイオテクス生活で不老長寿を目指しましょう!
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