人は一人一人顔も違うし、性格、健康状態も異なります。
今まではその違いを生むのは、遺伝子だと考えられてきました。
しかし、近年の研究で人体に生息する無数の微生物集団が関係していることがわかってきました。
この微生物集団を【マイクロバイオーム】といい、私たちの身体の腸内、口腔内、皮膚などに生息しています。


今回は、このマイクロバイオームが作る私たちの個性や、マイクロバイオームのバランスを整え、心を健康にするための方法をご紹介していきます。
項目は以下の通りです。
01.性格を形成する【マイクロバイオーム】とは?

まず健康を保ちたいならば、腸内環境を整えることが重要ということはテレビや雑誌でもよく取り上げられています。
その理由は、私たちのカラダには【マイクロバイオーム(微生物叢:びせいぶつそう)】というものがあるからなんです。
これは簡単にいえば何なのかというと、人の体に生息している<常在菌の集団>のことをいいます。
腸内で言うならば、腸内細菌がつくりだす<腸内フローラ>と同じ意味で使われます。
「じゃあ、腸内フローラと呼べばいいじゃないか!」と思う方も多いかと思いますが、
実はこの常在菌の集団。
私たちの腸内だけではなく、口腔・鼻腔・膣などの体内のみならず、皮膚までにも存在しているんです。
その様々な部分に存在しているものを総称して<マイクロバイオーム>と呼ばれています。
このマイクロバイオームは、全体を通して善玉菌と悪玉菌のバランスが取れていることが大切です。
もしそのバランスが崩れてしまうと、腸では蠕動運動(ぜんどううんどう)が鈍って便秘になったり、毒素の排出ができずに免疫力の低下などを引き起こしますし、口ならば歯周病、そして肌にいたっては肌荒れに炎症といったトラブルを誘発します。
それだけではなく、なんと性格の形成にもマイクロバイオームが関わっているという研究もあるんです。
その研究では、腸内細菌を採取したところ、特定の細菌が多くある人はポジティブな感情やネガティブな感情を強く感じる傾向があるという結果が出ました。
通常、感情を生み出すのは私たちの脳が関係するところです。
では、なぜ腸に生息している常在菌が、感情を生み出す脳に影響を与えるのか?
それは神経伝達物質の増減が関係しているためなんです。
少し難しいかもしれませんが、たとえば楽しさや心地よさの感情を生み出す神経伝達物質のドーパミンは、ドーパミンが生成する前段階の物質である、前駆物質<チロシン>の生産が多ければ増加します。
この<チロシン>が産生するのには、腸内細菌が深く関わっています。
そのために、快感ホルモンと言われるドーパミンが多く生成されるには、腸内フローラを整えることが重要になるわけです。
このように腸内細菌の中でも、善玉菌が多ければドーパミンが増えて、物事が楽観的に捉える性格になり、逆に少ないとドーパミンの量も減って不安や恐れを感じる臆病な性格になってしまうんです。
02.マイクロバイオームはネガティブな性格も変えることができる!
人間の性格は、生まれつき決まっている部分と生まれ育った環境で決まる部分で構成されていると思われている人も多いですよね。
でも、先ほどご紹介したような研究で、人間の性格は腸内環境で決まる部分があるということが分かっている現代です。
自分の持っているネガティブな部分を改善したいと思っている人は、腸活を行うことで変えることも充分可能なんです。
腸活に関しては、こちらの記事をご覧ください。
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ネガティブな性格で人との付き合い方が下手だったり、ストレスが溜まりやすい・・・
という人でも、腸内環境を改善することでポジティブな性格にすることだって不可能ではありません。
実際にマウスを使った動物実験では、糞便を移植することで腸内環境を整える実験を行った結果、実験前に比べて性格が変わったという報告があります。
人間では、そのような実験が行われていませんが、同様の結果が出る可能性は高いと言えるでしょう。
ということで、何をするにもネガティブに考える人は、腸活を意識し、食べるものを見直したり、適度な運動をすることで腸内環境の改善をすることでなんでも前向きに思考したり、行動できるようになるんです。
具体的に現在の腸内環境がどのようなものかを知るためにも、通販型の検査キットや病院でマイクロバイオームがどうなっているのかを調べる事もできるので、やってみましょう。
腸内環境が乱れているのが分かったら、その上で、改善できる方法を考えれば結果がでやすいんです。
03.心の病【うつ病】は腸内環境の改善で治る!
社会的な問題になっているうつ病ですが、治療をするならば薬を飲んだり、長期の休息をとるのが普通ですよね。
しかし、それとは別のアプローチで治る可能性があるんです。
それは腸内環境の改善。
腸は第2の脳と呼ばれているように、メンタルヘルス(心の健康)を良くするためには無視できない部分です。
でも、「まったく違う臓器なのに、そこまで影響があるのか・・・?」
と、疑う人もいるでしょう。
ですが、便に含まれているビフィズス菌の数を調べた調査によると、ビフィズス菌が多い人に比べて、少ない人はうつ病の発生リスクが3倍以上になったという結果が出ているんです。
また、マウスを使った実験では、腸内細菌がまったくいない無菌マウスは、腸内細菌がいるマウスに比べてストレスホルモンが上昇しやすいという事がわかっています。
ようするに、ストレスを感じやすく、攻撃的になってしまうんです。
同時に、無菌マウスは過度の不安によって引き起こされる多動なども起きやすくなります。
腸内環境が<メンタルヘルス(心の健康)>で重要な意味を持つのはそれ以外にも、セロトニンやドーパミンのように、喜びや快感をもたらす神経伝達物質の量にも関係していることも理由に挙げられます。
善玉菌は、それらの神経伝達物質の元になる物質を産生しますから、もし腸内環境が悪ければ気分が落ち込みやすくなります。
さらに、うつ病にとってストレスは引き金のようなものです。
ストレスを感じたときには、私たちの身体の中では<ストレスホルモン>が過剰に分泌されて、神経細胞の障害を引き起こします。
神経細胞の障害は、さまざまなホルモンの生成量が少なくなってしまうため、セロトニンやドーパミンが少なければ、ストレスを軽減する事ができません。
そうなると、ストレスホルモンがでやすい状況になります。
その結果としてうつ病は進行していきます。
しかし、腸内環境を改善すれば、ストレスホルモンの分泌もストレスを軽減する神経伝達物質の分泌も解決でき、うつ病は治すことが可能になるんです。
では、何をすれば腸内環境を整えることが出来るのか?
まずは、日常的に行える食事をよく見直してみましょう。
ビタミン、ミネラルなどの栄養バランスが整っていることは言うまでもなく、善玉菌の乳酸菌をサポートする役割を果たす<オリゴ糖>そして<食物繊維>を積極的に摂りましょう。
乳酸菌であれば、キムチ・ぬか漬けなどの発酵食品に多く含まれています。
前述のようにうつ病の発生リスクを抑えるビフィズス菌も、腸内環境を整えるのに大変に役立ちます。
オリゴ糖は善玉菌の餌になるものですが、きなこにバナナ、ごぼうに多く含まれます。
それらの食品には整腸作用を持つ食物繊維も含まれていますから腸内環境を改善できる効果も高いんです。
04.脳と腸がもつ相関関係!認知症にも関係が!
先ほどご紹介したように、脳と腸には深い関係があります。
脳が関係する代表的な不調では、物忘れや物覚えが悪くなったりする症状です。
もの覚えがわるくなったり、人の名前が思い出せなくなったりする、いわゆる<もの忘れ>は脳の老化によるものです。
しかし、近年日本での罹患率が多くなっている【認知症】は<老化によるもの忘れ>とは違います。
認知症は、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。
そして認知症が進行すると、だんだんと理解する力や判断する力がなくなって、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになってしまうんです。
近年、この認知症の研究が進み、腸内環境と認知症には深い関係があることが分かってきています。
実は日本人の高齢者では特に、腸内細菌の組成は認知症と関連している可能性があるんです。
さらに、腸内細菌の悪い状態が脳の炎症を引き起こし、認知症を発症させることが指摘されています。
腸内細菌は年齢を重ねるごとにその量が減っていきます。
通常、健康な腸内には500〜1000種類の腸内細菌が存在しており、量が減るとその種類も減少します。
そうすると、脳神経細胞にβアミロイドというタンパクが蓄積することで、脳に炎症を起こし、脳神経細胞が破壊され、認知症につながるんです。
認知症を予防するためにも、改善するためにも、腸内環境を整えることは、とても重要なんです。
05.腸内フローラを整え、心の健康を守ろう!
健康の定義は人それぞれです。
そもそも、<健康>というのは<健体康心>という四文字熟語から作られています。
健やかな体と康らか(やすらか)な心が得られることが、本当の<健康>なんです。
そのためにも、腸内環境を整えることは第一優先。
最重要課題といっても過言ではありません。




あなたも腸内環境を整え、心の健康を守ることで、真の健康を手に入れましょう!
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